投資の英語、年金の英語(3)

第3回 Finance

 

今ではもう完全に日本語

 

前回までは、"retirement"と"invest"という金融ではなじみの深いことばを取り上げてきました。今回紹介するのは、金融そのものを意味する"finance"です。

 

この「ファイナンス」ということばは、完全に日本語になった感があります。様々な金融会社、金融関連サービス会社の名前に「○◯ファイナンス」とか「□□ファイナンシャル・サービス」ということばが使われるのは、ごく一般的です。

 

私の友人も、ある外資系保険会社の外務員から独立し「△△ファイナンシャル・サービス」という会社を作って活躍しています。また、読者の多くは「ファイナンシャル・プランナー」の資格をお持ちだと思います。

 

この"finance"は名詞として金融、財務の意味で使われることもあれば、動詞として「資金を調達する」とか「融資をする」などの意味で使われることもあります。お金を貸すのも、借りるのも"finance"という動詞で表現できるのは、おもしろい点です。

 

アメリカの新聞などを見てみると、"We can finance up to 100% of your home's value"

(ご自宅の評価額の100%まで融資できます!)というような銀行の住宅ローンの売込みを

よく見かけます。

 

また、わが国の財政を司る財務省は、英語では"Ministry of Finance"です。

 

その他、主要な用例を見てみると、次のようなものがあります。

 

・financial institution・・・金融機関

・financial industry・・・・金融業界

・corporate finance・・・企業金融

・personal finance(またはfinancing)・・個人向け金融

・personal financial assets・・個人金融資産

・Deregulation of financial services・・・金融サービスの自由化

 

 

略語で頻繁に使われていることも

 

また、金融界で働いている皆さんがよく耳にする多くのことばの中に、この"finance"ということばは略されて隠れています。ご存知「FP」は「ファイナンシャル・プランナー」ですよね。あるいは、「FSAの検査が久々に入るらしい」などとオフィスで聞くいたことはありませんか?これは"Financial Services Agency"で金融庁のことです。

 

また、最近は外資系企業でなくても、財務資任者の正式名称をCFOとしている会社も多くなっていますが、これは"Chief Financial Officer"のことです。

 

外国帰りの上司が「FTを読む」などと言っていれば、それはイギリスの総済紙「フィナンシャル・タイムス」のことです。読者の皆さんの中で、今後国際金融に携わる方は、この「フィナンシャル・タイムス」や米国の「ウォール・ストリート・ジャーナル」が仕事の道具になる可能性が商いと思います。

 

以前は海外駐在などで海外勤務する人たちや、銀行などの国際部、ディーリング・ルームにいる人たちが読む程度で、一般人には高価でもあったことから、なかなか目にすることのないものでした。しかし、インターネット時代の今日、どちらも簡単に見ることができます。将班を展望して、典味のある方は、これらを読まれると金融英語の恰好の勉強材料になります。

 

それぞれ、以下のリンクでアクセス可能です。

 

フィナンシャル・タイムズ

 

ウォール・ストリート・ジャーナル

 

 

 

語源はラテン語

 

この"finance"ということばも、前回取り上げた"invest"と同様、フランス語を経由してラテン語から入ってきたもののようです。

 

もともとは、「税金、罰金などの金銭的な債務を払い終えてしまう、決済する(settle)」という意味だったようです。そのように見てみると、「お終い」という意味のフランス"fin"(「フアン」と発音し、昔は映画の字幕の最後によく出てきました)や、英溌で罰金を意味する"fine" (「ファイン」と発音)ということばに似ています。調べたわけではありませんが、語源的にはこれらは同じもののような気がします。

 

大蔵省も財務省も英文名は「MOF


バブル経済終焉後、銀行関係の様々な問題が噴出した90年代初頭、各銀行と大蔵省のパイプ役である、いわゆる「MOF担」(「モフたん」と発音)の存在がクローズアップされたことがありました。金融当局と銀行業界の不透明な関係の象微のようなことばとして、この「MOF担」という存在が取り上げられたように記憶しています。私などは大蔵省と銀行をつなぐ忍者のような存在と認識していました。

 

女優の黒木瞳さんがこの「MOF担」役を演じた、NHKのドラマを想い出される方もいらっしゃるのではないでしょうか(このドラマの原作は1994年に発表された、山田智彦の「銀行男たちのサバイバル」だそうです)

 

この「MOF」はもちろん"Ministry of Finance"の略称ですが、現在の財務省ではありません。省庁再編が行われて、旧大蔵術が財務省になったのは平成13(2001年)のことですから、この「MOF」は大蔵省のことです。お役人方も、組織は改変したものの、役所の英文名までは変える暇がなかったということでしょうか。変わらなかったのは名前だけで、中味はもちろん改変されたのだと信じていますが。